労働基準法上、賃金とは(1)使用者が (2)労働者に対して(3)労働の対償として支払うすべてで以上のような3つの条件をみたすものをいいます。交通費のように業務の遂行のため要した費用は一般的には賃金にあたりません。一般的にも労働の対価として使用者が労働者に支払うものをいいます。労働基準法24条は、賃金について、使用者は通貨でその全額を、毎月1回以上、一定の期日に労働者に直接支払わなければならない、ことを定めています。賃金の意味として労働基準法第11条は「この法律で賃金とは、賃金、給与、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に対して支払うすべてのものをいう」と定めています。
A,「使用者が」支払うと言う要件から、いわゆるチップは顧客が労働者に直接渡すものであるかぎり、賃金にはあたらないといえます。
B,「労働者に」支払うと言う要件から、労働者が死亡した場合に遺族に支払われる死亡退職金は一般的には労働者にいったん帰属した退職金が遺族に支払われるものではなく、遺族が会社の規定などに基づき直接に請求権を取得するものですので、やはり賃金には当たらないのが通常です。
C、「労働の対償」と言う要件は賃金の用件として実際上最も重要です。わが国においては現実の労務の提供と直接に結びつかない支払い項目(家族手当や住宅手当)も多いのですが、「労働の対償」という表現は広く解釈され、労働契約上、いわば労働者としての地位の設定の対価として使用者に支払いが義務づけられているものも含むと理解されています。退職金、賞与については就業規則その他において支払基準が明らかにされていて、使用者に支払い義務がある場合には退職金は賃金にあたるとかいされています。