労働協約が適用されるのは、その協約を結んだ労働組合の組合員に限られるのが原則です。これにより、非組合員より労働条件がよくなるのは当然のことであり、差別ではありません。組合を脱退した場合は、その時から労働協約は適用がなくなります。


 労働協約の締結にあたって、有効期間の定めをするかどうかは当事者の自由です。労働協約は一種の平和協定ですから、有効期間中は、その改訂を求めて争議行為を行うことはできないと考えられています。また、相手方はその交渉に応じる義務はありません。期間を定めた場合は、その期間中は双方に協約遵守義務があるので、労働条件が一方的に切り下げられることはありません。ただし、有効期間の定めをする場合は3年を越えることができません。(労組法15条1項) 


 有効期間の定めがない労働協約は90日の予告期間をおいて、署名なたは記名捺印した書面で通告すれば自由に解約できます。労働協約に自動延長条項がある場合も同様です。労働協約の一部解約は原則としてできません。




 協約の労働条件に関する部分は、各人の労働契約の内容になっているので、その限りで残ります。就業規則に取り入れられ、これと一体になっている退職金協定(協約)の支給基準は、協定が有効期限満了によって失効しても当然には効力を失いません。


 従来の労働協約の内容が労働契約の内容になっていて、労働協約の失効後も従来の契約内容が維持できる場合でも、合理性のある就業規則の変更により、新しい労働条件への切り下げができる場合もあります。