ピープルマニュアルは法的効力なし



従業員の皆さんは「ピープルマニュアル」というものを一度は聞いたこと、見たことはありますか?現在フェデックスには従業員に対する「就業規則」とは別に「ピープルマニュアル」というフェデックス独自の社内規則が存在します。その内容は服装、身だしなみから社内において守らなければいけない行為や禁止されている行為まで多くの事柄について具体的に英語版と日本語版で解説されています。

ここで労働基準法では「就業規則」の作成または変更についてどのように規定されているか一部を説明しましょう。

就業規則は作成/変更するときに会社が給与、諸手当、勤務時間、福利厚生などについて従業員の代表から意見を聞いて、それらをまとめ、労働基準監督所へ届出し、全従業員に周知徹底をし、はじめて効力を発揮します。

 また従業員の代表とは「労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその組合の代表者、過半数を組織する労働組合が無い場合は労働者の過半数を代表する者」と規定されています。

 

一方「ピープルマニュアル」はどうでしょう。ピープルマニュアルの内容は会社の都合で、前もって従業員への通知をしなくてもいつでも改訂や修正、または削除する事が出来ることが明記されています。「労働者の代表」から何も意見聴取がされず私達従業員の意見を考慮しているとは言えません。又、ピープルマニュアルの内容を何時でも、誰でも、閲覧できるようにし、更にその内容を理解させ、会社が実行させなければ全従業員に「周知徹底させている」とは言えないのです。しかも労働基準監督所にも届出がなされていないのです。

 以上の点から、「ピープルマニュアル」は日本の労働者のための法律である労働基準法に全く沿うものでなく、日本の法律の下では「就業規則」と同じような効力は何もありません。まして、「ピープルマニュアルに違反した」として会社が従業員を罰したり、解雇したりすることは違法行為そのものなのです。皆さんもここを良く理解しておきましょう。

 

私達フェデックス労働組合は大阪地方裁判所堺支部での山田副委員長解雇事件の裁判で、完全勝訴判決を得た理由の一つは、このピープルマニュアルによる山田さんへの懲戒解雇が法律違反であったからです。